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事業概要

拠点形成の目的

神経変性疾患と悪性腫瘍の克服は21世紀の医学上の最重要課題であり、病態解明とそれに基づく新規治療法の確立が求められています。世界的にも両疾患の克服に向けた萌芽的研究が生み出されてきており、次の10年こそが疾患克服への最も重要な時代であると考えられます。そこで、グローバルな視点でこの課題に立ち向かい、世界をリードできる若手研究者を育成することが緊急の課題であると考えられます。私たちは、21世紀COEプログラム「神経疾患・腫瘍の統合分子医学の拠点形成」において、神経変性疾患と悪性腫瘍の病態に共通の機能分子が深く係わることを明らかにし、これを標的として異分野の研究者が融合的に研究を推進することで独創的な研究成果を生み出してきました。両疾患を統合的に研究することが、世界最高水準の研究成果と多くの優れた若手研究者の育成に繋がってきました。

本グローバルCOE拠点は、このように確立してきた教育研究のコンセプトを発展させ、「機能分子医学への神経疾患・腫瘍の融合拠点」形成を目指すものです。若手研究者の高度の専門性は、カッティングエッジの研究実践を通じてこそ実現されるものであり、世界をリードする研究を推進します。このため、「神経疾患と腫瘍に共通する機能分子の探求」、「共通機能分子を軸とする融合型研究の創出」、「共通機能分子を標的とした治療研究の推進」の三大ミッションを掲げ、COE推進講座を有機的に統合し、治療・予防など、臨床応用という出口の明確な機能分子医学を構築します。また、基盤組織である名古屋大学大学院医学系研究科に加えて、神経・がんの国内有数の研究機関で名古屋大学の連携大学院でもある国立長寿医療センター、愛知県がんセンターより世界をリードする研究者を結集し、神経変性疾患と悪性腫瘍の克服に向けた一大教育研究拠点の形成を目指します。

本拠点の歴史的背景

本拠点からは神経・腫瘍の領域で優れた研究者が輩出し、両分野の発展に大きな貢献を果たしてきました。ドパミンの生合成系を解明した永津俊治(紫綬褒章)、発汗の神経機構を解明した久野寧(文化勲章)、白血病の化学療法への道を開いた勝沼精蔵(文化勲章)、CT、MRIの開発に繋がる原理を発明した高橋信次(文化勲章)らが挙げられます。このような伝統の下、平成10年以降のCOE、その後の21世紀COEを通じ、神経・腫瘍の統合的研究が両者の克服にとって有効なストラテジーになることを証明し高い実績を挙げてきました。

神経変性疾患・悪性腫瘍研究の現状と本拠点の担う重要性・発展性

神経変性疾患の研究は、この10-15年の間に疾患原因遺伝子の相次ぐ発見を契機に急速な進歩を遂げてきました。いくつかの疾患では、分子病態機序に基づく新たな治療法の動物レベルでの有効性が示されてきましたが、ヒトでは未だ神経変性を抑止する治療法は得られていません。標的分子の探索と病態抑止療法の開発は今後10年間の世界の研究の潮流になると考えられます。
一方、悪性腫瘍の分子機構研究、分子標的治療開発については世界的に多くの拠点がありますが、さらなる分子標的の探索と副作用のない有効な治療法開発は今後10年間が大きなエポックになると考えられます。
本拠点は、神経とがんの克服に向けた融合領域の確立という独創的な目標を掲げて研究者を結集し、集約的研究と同時に若手研究者の教育を推進する極めてユニークな拠点です。世界に目を向けますと、神経・腫瘍の統合的研究という潮流が少しずつ生まれてきてはいますが、いずれも研究室単位で、本拠点のように融合的研究から教育まで一貫して行うものではありません。我々は過去10年間にわたり、この目的に沿った活動を推進し、標的機能分子の新規発見、臨床治験の推進、人材の育成などで多くの成果を挙げてきました。今後、本拠点は世界を先導する拠点として発展するポテンシャルを有していると考えています。
本拠点では、神経疾患と腫瘍という医学上の両極に位置する疾患を融合的かつ最先端レベルで研究し、疾患克服に向けた新潮流を生み出したいと考えています。そこで、以下のような3つの中心的ミッションを設定しています。

1.神経と腫瘍に共通する機能分子の探求

中核的研究拠点形成プログラム「神経変性疾患と悪性腫瘍の分子医学」、21世紀COEプログラム「神経疾患・腫瘍の統合分子医学の拠点形成」を通じ、一貫して追求してきた本拠点を特徴づけるミッションです。神経、腫瘍の研究を推進する中で、年々、新たな共通的な機能分子の存在が明らかになってきています。また、統合失調症においても重要な機能分子を発見したことより精神疾患を含む広義の神経疾患を対象とし、5年、10年後の臨床応用に向け、新規機能分子の探求と解析を目指します。

2. 機能分子を軸とする融合型研究の創出

明らかになった機能分子を軸に拠点内外と共同研究のネットワークを構築していきます。近隣研究所の客員教授を含む新たな事業推進担当者により、融合型研究のネットワークを飛躍的に広げます。さらに人的ネットワークを生かし、本拠点出身の海外PIや世界トップレベルの大学・研究機関との協力による融合型研究を促進します。一方、機能分子に基づく新たな協力機関の発掘と共同研究の創出を目指します。海外との協力においては、若手研究者の人的交流を活発化し教育的側面を重視していきます。

3. 機能分子を標的とした治療研究の推進

本拠点では、運動ニューロン病、白血病、固型がんに対する分子標的治療研究を展開しており、グローバルCOE期間にこれらのいくつかを実現することを目標とします。さらに融合的研究で新たな治療標的になりうると判明した分子を治療研究のレールに載せていきます。プログラムの出口となる治療研究などの研究成果の社会への還元を重要な使命と位置づけ、市民への情報公開と広報活動に努めていきたいと考えています。

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